2006/11/03
(ぷちSS)「菫色のメロディー」(Canvas2)(美咲 菫)
目が覚めたら、すでに太陽は空高く昇っている時刻だった。
休日だからと、のんびり惰眠を貪っていた浩樹が起きてきたのは
��0時過ぎ。普段よりもずいぶん遅い。だが。
「エリスのやつは、まだ寝てるのか」
同居している従妹のエリスの姿が見当たらないのはいつものことだ。
「ま、休日だしな」
それに、夜遅くまでキャンバスに向かっていたようだから、仕方の
ないことかもしれない。
起こすのもかわいそうだし、何より手間がかかるので、浩樹は
軽く朝食を取ってから、出かけることにした。
11月にしてはあたたかい日差しで、散歩するにはちょうどいい。
浩樹はどこに向かうでもなく、ぼんやりと歩く。
たまにはこうゆうのもいいだろう、普段は美術教師としてあくせく
働いているわけだし。
美術部部長の竹内麻巳が聞いたら、部活に出ていないのに…と呆れる
ことだろうが。
やがて、浩樹は公園に辿り着いた。幸いにして、池のほとりの東屋の
ベンチには誰もいない。
横になった浩樹が眠りに落ちるのは、それほど時間はかからなかった。
「~~♪」
どこかから、きれいな歌声が聞こえている。
それは、子守唄のように心地よく、聞く者全てをあたたかく包んでくれる
ような歌声だ。
目を声のほうへ向けると、見知った顔がそこにあった。
「おはようございます。上倉先生」
「ああ、美咲か。ま、おはようって時間じゃあないがな」
その歌声の持ち主は、撫子学園合唱部所属、美咲菫だった。
「歌の練習だったんだろう。邪魔をしてしまったか?」
「いえ、そんなことはありません。私のほうこそ、先生のお昼寝の
邪魔をしてしまったのではありませんか?」
「いや、それどころかとても気持ちよく目覚められたよ。ありがとうな」
浩樹がやさしく言うと、菫は頬を染めて微笑んだ。
「そうだな、いいものを聞かせてもらったお礼に、お茶でもごちそう
しよう」
「え、そんなの悪いです」
浩樹の申し出に、遠慮がちに答える菫。だが、
「いいからいいから。この近くに美味しいコーヒーを出してくれるお店が
あるんだ」
「ちょ、ちょっと、先生……」
強引に菫の手を取って歩き出す浩樹。びっくりはしたものの、決して
いやがるそぶりはなく、菫は微笑みながら浩樹に連れられていった。
おわり
あとがき
うーん、終わるべきではないというか、まだ続きが書きたいような。
でも、今日は時間がないのでこれまで。
続きが読みたい人、いますか?
��006年11月3日 美咲菫さんのお誕生日♪
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