2006/05/21

フィーナとお風呂に入ることにした。






 もちろんみんなには内緒なので、フィーナと打ち合わせて、みんなが寝静まった頃に風
呂場で落ち合うことにした。
 俺が足音を立てないように風呂場に行くと、まだフィーナは来ていなかった。
 このまま待っているのもなんとなく恥ずかしいので、先に入っていよう。
 そう考えた俺は、さっさと服を脱ぐと浴室に入っていった。



 湯船につかって落ち着こうと思ったのだが、入ってみるとだんだんと心臓が高鳴ってい
くことに気づいた。
 だって、もうすぐフィーナが来るんだから。
 すでに一度肌を重ねているとはいえ、まだまだお互いのことはよくわかっていない。
 フィーナが俺の誘いを了承してくれただけでも信じられないぐらいなのに、その肢体を
目の前にしたら俺はどうなってしまうのだろう。
 というようなことを考えていたら、浴室の扉に人影が映った。
「……達哉?」
 確認する小さな声。フィーナだ。
「あ、ああ」
 返事をする声がかすれてしまった。思ったよりも緊張しているようだ。
 俺の返事を聞いて、フィーナは衣服を脱ぎ始めたようだ。扉越しにもフィーナのしなや
かな身体がわかるような気がした。
 そろそろと静かな音を立てて、フィーナが浴室に入ってくる。
 恥ずかしいのか、タオルで身体を隠しているようだが、その均整のとれた身体つきは隠
せない。
「あ、あまり見ないで…」
 頬を赤く染めたフィーナが呟く。それは、いつもの姫としてのフィーナではなく、女の
子としてのフィーナの表情だ。……俺の前だけの、フィーナの表情だ。
 俺は、ゆっくりと立ち上がるとフィーナの肩に手を置いて、耳元で囁いた。
「きれいだよ、フィーナ」
「達哉……」
 しばらく見つめあった後、くちづけを交わした。
 俺はくちびるを重ねたまま、そっとフィーナのタオルの結び目を解く。
 するりと音も無くタオルは落ちて、一糸まとわぬ姿のフィーナが現れた。
「きれいだ……」
 あらためてフィーナにそう言うと、俺はフィーナを抱きしめる。
 しばらくすると、フィーナのほうからも俺の背中に手を回してきてくれた。
「風呂に入るんだから、タオルは邪道じゃないか?」
「……そうね、お風呂に入るのだものね」
 いつもなら反論されそうだが、なぜか納得するフィーナ。
 これが、お風呂の魔法というやつだろうか。
 俺たちはお互いを確かめ合うように抱きしめあい、それから「裸のつきあい」を開始し
た。



おわり



あとがき



PCゲーム「夜明け前より瑠璃色な」のSSです。
タイトルどおりではありますが、なんとなく書こうと思っていたものとは違う内容に
なっちゃいました。
「お風呂」って、服を着なくてもいい場所なんで便利ですね(笑)



それでは、また次の作品で。



��006年5月21日 ハレスギテユカイな日♪



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